概要

この助成金は有期雇用(パート・契約社員など)の従業員を正社員にする
無期雇用(契約期間の無い非正規社員)を正社員にすると貰える助成金です
有期から正社員の場合57万円
無期から正社員の場合28.5万円です

障害のある方の場合は
有期から正社員で90万円
有期から無期で45万円
無期から正社員で45万円の受給が出来ます

申請の流れ

1.キャリアアップ計画という物を作成します。

厚生労働省のキャリアアップ計画書というひな型に沿って空欄を埋めます。
これは社労士が書けるのであまり気にしなくてもOKです。
こちらがキャリアアップ計画書(令和5年版です)
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001083027.pdf
提出先は労働局またはハローワークです

2.就業規則の見直し

有期雇用や無期雇用社員の正社員登用が就業規則にあるかどうか確認します。
正社員登用が就業規則にある場合はスキップしてもらってOKです。
記載が無い場合は正社員登用する事がある旨を就業規則に追加します。
この就業規則の変更は自社でやっても社労士に任せてもOKです。
たぶん、社労士が変更する場合でも軽易な変更である為、少額で済みます。

3.対象従業員の正社員化

これは文字通りの意味で対象の従業員を正社員化するだけですが
いくつか注意点があります。
POINT
・正社員化した従業員の給与を3%以上引き上げなければならない
これは「正社員化したなら待遇を改善してね」という厚労省のご意見です。
・正社員化するまでの非正規期間を6ヶ月以上としなければならない
これは「1か月で正社員にするって事はキャリアアップ助成金目的の非正規採用だよね」
という戒めの為に作られた規定です。

4.正社員化して6ヶ月経過してから助成金の支給申請

ちゃんと3%賃金が上がっているかという確認期間です。
POINT
・正社員化してから6ヶ月経過した時点から2ヶ月以内に支給申請をしなければならない。
大変分かりにくい表現ですが
6月に正社員化して12月まで賃金が3%上がっているかの確認期間があります。
その確認が出来てから2ヶ月以内、この場合だと2月末までに支給申請をしてください、という文言です。

5.受給決定

何も問題が無ければ上記の手続きを持って無事に助成金が支給されます。
有期雇用の方を3人対象としていれば171万円の受給決定となります。

補足

助成金の使い道は自由です。
人材教育の資金として使用しても、設備投資の一部として使用しても問題ありません。
単純に純利益が171万円増えたような物です。
利益率が10%の会社なら売り上げが1710万円増えたのと同等の効果があります。
もちろん返済などは不要です。
雇用保険に加入している事業所様の権利であり、後ろめたい事は何もありません。

おすすめ活用例

キャリアアップ助成金は非常に使い勝手の良い助成金です。
そこで、私のおすすめするキャリアアップ助成金の活用方法をご紹介します。

1
中途採用の従業員を半年間有期契約として雇用します。

ここで正社員として上手くやっていけるか検討します。
この半年でキャリアアップ助成金の6ヶ月基準をクリアします。
その際に最初の6ヶ月は試用期間とし、少しだけ給与を抑えます。
これによって正社員登用後の賃金3%アップの基準もクリアしておきます。
よく、「半年間は試用期間とし、契約社員での採用とする」と書いてある企業様の求人はキャリアアップ助成金が絡んでるのではないかと考えています。
有期契約として雇用する事で企業とのミスマッチを防止して採用リスクを軽減させつつ、キャリアアップ助成金の支給要件をクリアする一石二鳥の採用プランです。

2
有期で雇用した従業員様に問題がなければ正社員登用

勤務態度や適性に問題があれば無理に正社員にする必要はありませんが
何も問題が無く働けるようであれば半年経ったタイミングで試用期間を終了し
正社員登用を行います。
この際に、試用期間の給与から本採用の給与(3%以上アップ)に昇給させます。
これででキャリアアップ助成金の支給要件はクリアしています。

3
正社員登用を行ってから半年後に助成金の支給申請を行います。

上記の1,2番で支給要件は満たしているので、一人当たり57万円の支給を受ける事が出来ます。

FAQ

Q9
現在派遣社員として働いている人がいます。今からキャリアアップ計画書を作った場合支給の対象になりますか?
A9

大丈夫です問題ありません。


Q10
キャリアアップ助成金を受給したいのですがどこに相談すればいいのか分かりません。
A10

社労士事務所か労働局が親切にアドバイスしてくれます