はじめに
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用の社員を正社員化した場合に企業へ支給される国の助成金制度です。
最大80万円が支給されますが、令和7年度の改正により要件が厳格化され、多くのケースでは40万円となりました。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の概要
- 対象者:有期雇用労働者を正社員に転換した場合
- 支給額:最大80万円(※多くのケースで40万円)
- 改正ポイント(令和7年度版)
- 要件が厳しくなり、80万円を受け取れるケースは限定的
- 基本は40万円に減額
支給要件(基本)
- 過去3年以内に違反がないこと
(労働法違反や助成金不正受給など) - 6ヶ月以上の有期雇用を経て正社員化
- 3年以上の有期雇用であれば80万円対象
- キャリアアップ計画書を提出済み
(書き方についてはこちら) - 就業規則が助成金対応済み
(変更後6ヶ月経過してから助成金利用可能)
キャリアアップ助成金(正社員化コース) メリットとデメリット
- 最大80万円の助成金受給
- 人材の定着率アップ
- 企業イメージ・信用度の向上
- 申請手続きが煩雑
- 不支給リスクがある
- 固定的な人件費の増加
キャリアアップ助成金の活用により、企業は正社員化を進めやすくなります。
一方で、正社員化の際には賃金を3%以上アップさせる必要があり、企業が一方的に利益を得られるわけではありません。
さらに、申請手続きは非常に煩雑で、不備があると不支給になるリスクもあります。
助成金の申請に不安がある方、専門家に任せて安心したい方は、下記のボタンをクリックして今すぐ無料相談をご利用ください。
キャリアアップ助成金 具体的な届出・申請の流れ
- キャリアアップ計画書の作成・届出
まずはキャリアアップ計画書を作成して労働局に届出ます
具体的なキャリアアップ計画書の書き方はこちらのリンクを参照ください - 就業規則の作成・変更
キャリアアップ助成金は適切な就業規則を作成してから6ヶ月経過した後に利用できます
それまでの期間に正社員化等をしても助成金は受け取れません
キャリアアップ計画書を出したらすぐに就業規則を作成・変更して対応しましょう
キャリアアップ助成金に使う就業規則のポイントはこちらで解説しています - 6ヶ月経過後、正社員化試験の実施
2番までの工程が終わったら6ヶ月待ちます。
その後「正社員登用試験」を実施します。
面談等では足りず、試験である必要があります。
ただ、面接試験等は許可されているので試験に難易度を求めるようなものではなく
どちらかと言えば試験という形式に意味があるようなイメージです。 - 当該有期雇用労働者の正社員化
試験に合格した労働者を正社員化します。
就業規則で定めた日に転換してください。
賃金の3%アップも条件なので忘れずにアップさせてください。 - 助成金の支給申請
労働者を正社員化して6ヶ月分賃金を支払ったら助成金の受給申請を行います。
期限は2か月なので忘れないようにしましょう。
支給申請書のリンクはこちらです
これがキャリアアップ助成金(正社員化)コースを利用する為の流れです
自社のみでは不安だと思った方は是非こちらからご相談ください
キャリアアップ助成金(正社員化コース)よくある失敗・不支給事例
- キャリアアップ計画書を提出していない
キャリアアップ計画書を出す前に正社員化していてもう使えなくなっている企業様をよく見かけます。 - 就業規則の整備が不十分
正社員転換周りのルールが不明確で支給されないパターンもよく見ます - 賃金アップ率の要件未達
残業込みで上がっている、固定残業代がついたなどの勘違いで不支給になるパターンです。 - 契約転換のタイミングを誤った
就業規則では1日転換なのに実際の転換日は給与締め日の翌日だった等です - 書類不備や提出期限切れ
提出期限が切れていると申請出来ないので気を付けましょう - 元々正社員雇用だった
非常によくあります
正社員として募集をかけて契約社員として採用、半年後に正社員化、などは理屈が通りません。
社労士に任せるメリット・デメリット
ここまで具体的な申請の流れやよくある失敗等を解説してきましたがいかがだったでしょうか?
全て自社で完結させるのがキャッシュ的に最も有利である事は間違いないと思います。
ここで、社労士に任せるメリットとデメリットについて比較出来ればと思います。
- 不支給リスクを大幅に減らせる
- 申請にかかる手間と時間を削減できる
- 人件費の削減に繋がる
- 費用がかかる
- ノウハウが残らない
- 手間はゼロにはならない
社労士に任せれば、不支給リスクを大幅に減らすことができ、自社の事務負担も軽減されます。
さらに、担当者の労働時間を抑制できるため、人件費面でも効果があります。
一方で最大のデメリットは、ノウハウが自社に残りにくいことです。
ただし、金銭面については大きな問題にはなりにくいでしょう。
なぜなら、一度不支給になれば最低でも40万円を失うことになり、対象者が4人であれば160万円にもなります。
社労士に任せた場合の手数料は、就業規則の変更費用と成功報酬(おおむね20%程度)を含めても20万円に届かないケースが多いです。
また、一度整備した就業規則は次回以降も活用できるため、2回目以降は申請代行の手数料だけで済みます。
実際に、会社側の手出しを嫌って自力で申請し、複数回にわたり不支給となってしまった事例も少なくありません。
「プロに任せていれば全額受給できたのに」と残念に感じるケースを多く見てきました。
まとめ
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、正社員化を進める企業にとって非常に有益な制度です。
しかし、申請の流れは複雑で、計画書の提出や就業規則の整備、賃金アップ要件など、細かい条件を満たさなければ不支給となるリスクがあります。
メリットとしては、助成金によるコスト軽減や人材定着の促進が挙げられますが、同時に「不支給リスク」や「申請事務の煩雑さ」といったデメリットも存在します。
こうしたリスクを避け、確実に受給につなげるためには、社労士によるサポートを受けることが有効な手段です。
自社で無理に対応して不支給となれば、1件あたり最低40万円以上の損失につながる可能性があります。
一方で、社労士に依頼すれば不支給リスクを大幅に減らし、事務負担も軽減できます。
キャリアアップ助成金を有効に活用し、正社員化による組織強化を図るために、ぜひ専門家の無料相談を活用してみてください。